マッチ
無動力油水精密分離機
現在 工場敷地、タンクヤード、道路、汚染土壌で大きな問題になっているのは
汚染源も、 量・濃度も いつ流れてくるかも 不特定な 油の漏流出(ノンポイント汚染)です
なぜなら、
動力を使うと故障しやすい
24時間備えが必要
部材交換など施設のメンテナンスが大変
消耗資材を使うとランニングコストが高い
オイルトラップ、油水分離槽では処理水が排水基準をクリアできない
設備の設置可能面積が狭い
油にシルト(砂土)が混じっている
台風などで大量の油水が一気に流れてきたときに対応できない
などの問題があるからです。
MUCHシステムセパレーターなら24時間態勢で大量の汚水から高濃度の油分や浮遊懸濁物質(SS)、砂埃などを精密に除去できます。小型かつメンテフリーで消耗資材も動力も不要です。従って上記の問題もすべて解決です。
MUCHシステムのはたらき
- ①取水口から油水が入ります。
- ②砂・ほこり混じりの油など比重の重い浮遊物は、シルトコアレッサで水から分離されてシルトチェンバーの底に沈降します。水は、連絡管を通ってオイルコアレッサ内に流れこみます。
- ③油滴・油膜などの比重の軽い浮遊物は、オイルコアレッサで粗粒化されてオイルチェンバーの水面に浮かびます。
- ④排水口からは油が除去された清澄な水が排出されます。
導入実績
- 1.地下送油管破裂事故による浸出油除去(地下埋設型)
- 処理量規格 毎時10tまで
- 油分濃度規格 原水:3000mg/ℓまで → 処理水:1mg/ℓ未満
- 事故現場 設置工事
- 2.油で汚染された土壌の浄化
- 処理量規格 毎時20tまで
- 油分濃度規格 原水:3000mg/ℓまで → 処理水:1mg/ℓ未満
- 設置現場 MUCHシステム拡大
- 3.原子力発電所の廃水処理(プール型)
- 処理量規格 毎時30tまで
- 油分濃度規格 原水:3000mg/ℓまで → 処理水:1mg/ℓ未満
- MUCHシステム-流入部- 処理後の排水
- 4.空港敷地内から流れ出る雨水に含まれる油分の除去(地下埋設型)
- 処理量規格 毎時50tまで
- 油分濃度規格 3000mg/ℓまで → 処理水:1mg/ℓ満
- 設置現場 オイルコアレッサ
- 5.工場排水(含 動植物油)処理(2ヶ所)
- 処理量規格 毎時100tまで および 150tまで
- 油分濃度規格 原水:3000mg/ℓまで → 処理水:10mg/ℓ未満
- 100t用設置現場 150t用設置現場
- 6.基地敷地内から流れ出る雨水に含まれる油分の除去(地下埋設型2ヶ所)
- 処理量規格 毎時500tまで および 700tまで
- 油分濃度規格 原水:3000mg/ℓまで → 処理水:5mg/ℓ未満
- 500t用設置現場 700t用設置現場
- 7.工場敷地内から流れ出る雨水に含まれる油分の除去(地下プール型)
- 処理量規格 毎時1300tまで
- 油分濃度規格 原水:3000mg/ℓまで → 処理水:3mg/ℓ未満
- SS濃度規格 原水:350mg/ℓまで → 処理水:20mg/ℓ未満
- 製造中のオイルコアレッサ 設置現場
- 8.鉄道車両工場敷地内から流れ出る雨水に含まれる油分の除去(地下埋設型)
- 処理量規格 毎時2500tまで
- 油分濃度規格 原水:3000mg/ℓまで → 処理水:1mg/ℓ未満
- 設置現場 シルトコアレッサ
特色
- 1.優れた性能 安定性
- 高濃度油分、微細な油滴、シルト混入油なども油水分離します。前処理・後処理不要で排水基準を クリアできます。(なお排水基準は、鉱油で5mg/ℓ未満、動植物油で30mg/ℓ未満、浮遊懸濁物質は日平均150mg/ℓ未満です)
- 2.省力性 経済性
- ①無動力自動運転
太陽・風力などの自然エネルギーさえ不要です。水が流れているだけで十分です。
②「動く」部分が少ないので故障も少なく、定期的に交換する部材もありません。
③メンテナンスも少なく楽です。
必要なことは、沈降物や油の引き抜きと逆洗のみであり、それも年に数回程です。しかも運転しながら行えます。
④設置面積が小さいのに大量処理が可能です。
たとえば通水量が10t/時(毎秒約3リットル)でも5~7㎡程度です。
サンプリングテスト
導入実績7の実機設置後の性能確認〔油分および浮遊懸濁物質(SS)〕
高濃度の油や活性白土を含む過負荷テスト用原水を通水させ、排水基準をクリアしていることを確認。
製鉄工場のスケールピットにおけるデモ機据付実験〔浮遊件濁物質(SS)〕
約4ヶ月の連続運転において、処理水のSS濃度を10ppm以下におさえつづけた。(原水:~180ppm)
油の注入 水の注入 既存の原水層 デモ機への通水
小型モデル機を使った実験〔油分〕
A重油・エンジンオイル・河川有機質・炭酸カルシウム(シルト代替物)を乳化させた原水(油分濃度1%=10000mg/ℓ)を毎時1㎥のペースで通水。処理水の油分濃度は2ppm未満。
シルトチェンバーに油水が入ってきた様子
オイルコアレッサで油水分離が始まった様子
油水分離した様子
処理水
「マルチ チェンバー」方式による油水分離の原理
MUCHシステムは世界初の「マルチ チェンバー」方式の導入により低コストで安定した精密分離を可能にした油水分離機です。「マルチ チェンバー」方式の優れた段階的処理の概略を説明いたします。
第一段階
①取水口から シルトチェンバーに油水が入ってきます。
②この油水は シルトコアレッサに通水され、ここで油水の中に含まれるSS(汚泥など)やシルトを含んだ油など比重の重いもの同士を邂逅させて粗粒化させます。粗粒化されたSSなどはシルトチェンバーの底に沈降し水から分離されます。溜まった沈降物は、時々油抜管からポンプで引抜きます。
同時にシルトコアレッサは比重の軽い油滴同士を邂逅させて大きな油適に(粗粒化)してその浮力を高めミドルチェンバーの水面に油膜として浮かべます。
但 これは次のオイルコアレッサにおける精密処理の前処理にすぎません。
第二段階
③ミドルチェンバーから連絡管を通ってオイルコアレッサに入ってきた油水に含まれる油分はここで微細な油滴にいたるまで粗粒化されます。
粗粒化されて浮力がついた油はオイルチェンバーの水面に浮上して水と分離されオイルチェンバーに留め置かれます。浮上した油が増えて油層になってくると油はスキマーに吸い込まれて自動的にオイルタンクに移されて溜められます。
④油分が取り除かれた水はオイルチェンバーの下方にある取排水口に吸い込まれ、オイルチェンバーの外に排出されます。
その他の部品も含めた補足説明
流動式エレメント(付着材)
いずれのコアレッサの中にもエンジニアプラスチックで作られた特殊形状の付着材が充填されてい ます。非常に耐久性に優れています。
スキマー
オイルチェンバーに浮上分離された油が増えて油層になってくると油はスキマーの給油口(自動的 に油層と水の界面よりやや上に位置どりします)に吸い落とされていきます。もちろんこの働きも無 動力です。
逆洗管
年に数回、運転(油水分離)を止めることなく、ここから圧縮空気や水を送り込んで逆洗します。
油抜管
シルトコアレッサやオイルコアレッサの内部に溜まってしまったシルトや油はここからポンプで吸って 抜くことができます。但 この作業を行うことはあまりありません。
取排水口
油を除かれたきれいな水をここから取り込み排出口から排出します。
サンプリングテスト(一部のみ)
1.上記実績表の整理番号19の三星電子の現場における設置後の性能確認テストにおいて90%の油分(灯油およびエンジンオイル)と10%のシルト分(活性白土および炭酸カルシウム)を調整した実験用油をシルトチェンバーに入れ、その後散水車から大量の水を一気にシルトチェンバー内に流し込み、シルトチェンバー内の油水および排水口から排出された処理水をそれぞれ2回サンプリングしてSS濃度およびノルマルヘキサン抽出物(つまり油)濃度を計測した。
2.現代製鉄・タンジン工場のスケールピット内の排水を上記実績表の整理番号7と同じ「S-7」型機に通水して約4ヶ月にわたりSS濃度を計測した。
原水、既存設備での処理水、MUCHによる処理水、それぞれの結果は右記の表のとおり、原水のSS濃度は20~180ppmにわたったが、処理水のそれは10ppm以下に抑え続けた。
従来の油水分離技術との比較
-MUCHシステムのメリット-
既存の技術では最大処理水量が毎時100t程度に限定されるものが多く、また最高処理能力もノルヘキ抽出物質濃度を5~10ppm以下には下げられない場合がほとんどでした。
MUCHシステムは無動力式ですが、最大処理水量7000t/時(但 実績としては2500tまで)、ノルマルヘキサン抽出物質濃度も最大1ppm未満にでき、SS濃度も10ppm未満にできる画期的なシステムです。
凝集できる油滴の大きさも5μm以上であり、微細な油滴も凝集させることができます。
MUCHシステム運用上の注意
洗剤などの界面活性剤によって乳化した油分は分離できません。このような排水については一般に加熱処理や薬注処理が行われます。
MUCHシステムは、油やSSを分離する装置であり、自然消滅させる機器ではありません。分離された油などは、適宜引抜く必要があります。
水溶性物質(糖、アルコール)は分離できないので、水溶性物質に由来するBOD・CODは低減できません。
既存技術の種類
動力使用・消耗資材使用 自動薬注(酸、凝集剤)など
動力使用・消耗資材不要 加熱処理、加圧浮上(マイクロバブル)、遠心分離、スキマーなど
動力不要・消耗資材使用 薬注(酸、凝集剤)、濾過材、吸着剤など
動力不要・消耗資材不要 MUCHシステム、自然浮上式(APIなど)、固定コアレッサ式(CPI,平 行板型など)、初期流入水分置式など
既存の動力不要・消耗資材不要型技術の例
APIタイプ
CPIタイプ